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2003年09月17日
淡々と悪を斬る無機質ヒーロー 〜座頭市(北野版)・雑感〜
カテゴリー:劇場で観た映画○映画「座頭市」について、最近の北野映画と比較しながら感想。
※文章の書き易さのため、敬称略。あと、ネタバレあるかもなので注意。
結論から言いますと、普通に面白かったです。チャンバラではないけど、勧善懲悪。(但し普通の時代劇が意図的な勧善懲悪なのに対し、北野版では「結果的にそうなった」感じ)
よくこの映画を評する時「北野映画らしくない」といった枕詞がよく使われますが、何本か北野映画を観てたら「分かりやすい娯楽映画をやってるけど、でもやっぱり北野映画だなぁ」って感じに見えます。個人的には「Brother」の流れの明快さ+「Dolls」の和装強調テイスト+北野コントの混合って印象です。
原材料は「(黒澤映画や勝新に限らず)よくある時代劇」なんですが、料理の仕方にクセが。
まず、殺陣のシーンで(たけし)市の太刀筋が見えにくかろうとお構いなし。普通の時代劇ですと、「刀で斬る」動作を格好良く見せるためにスローを使ったり刀が光を放つような描写を入れたくなります(「座頭市」では浅野忠信の殺陣が比較的そっち寄り=正統派?)。
ところが、たけし市の場合刀が動くプロセスはあまり(or意図的に)見せようとしていません。「市がひと度斬れば、次の瞬間死体が出来上がる」って感じで、かなりドライな剣劇です。(逆に「あずみ」なんかは、「ぶった斬る」シーンの演出に腐心してる感じがしました)
そして、市が町の悪人連中を斬る動機が特に決め付けられていないこと。普通、時代劇で人を斬る場合、「貧しい農民が悪い代官や金貸しに陥れられ殺された、それは許せない」とか、悪人を斬る為の理由付けが台詞とかお金のやり取りと共に描写されるものです。
ところがこれまた何故か本作では、「市自身が悪人を斬る理由」が特に説明ありません。目の前で刀を抜く奴は問答無用で斬る。博打でイカサマやらかした奴は斬る。兎に角斬る。でも、最後まで話が進んでみると「弱きを助け強きを挫く」展開になってる。あら不思議。
相変わらず北野映画なので、台詞でべらべら説明せず映像で過去や状況を描写します。心情を吐露する台詞も然程なく、説明過剰な台詞も必要最小限(よりやや少ない?)。それでも、時代劇のお約束に裏打ちされた映像が展開され、作品の明快さは損ねてません。(この辺が前作「Dolls」との大きな違いかな…説明不足な恋愛映画は観てて辛かったし)
浪人(浅野忠信)を斬るところまではどちらかと言うと淡々とした感情の篭らない映像を積み重ね、最後のキャストほぼ全員タップシーンでは、その合間合間に市が悪の親玉の正体を観客に暴きながら斬る。それまでは全くなかった「悪人に対する斬り口上」を口にしながら、勧善懲悪の剣士よろしく。
農民(大衆)はエンディングで晴れやかにタップを踊り、悪党は悉く打ち滅ぼされ、主人公は憎いほどに強い。部分部分で見ていくと普通の時代劇から相当ズレてるんだけど、最後にはちゃんと悪党全滅してめでたしめでたし。
うん、これを見せられたら(外国の人が)スタンディング・オベーションしたくなるのも分かる気がするな…個人的にはちゃんと時代に合わせて「盲(めくら)」という言葉が使われてたのに感心。
投稿者 shizune : 2003年09月17日 22:17
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